TABU タブー シーラッハ「禁忌」より

真田くんが舞台に登場したとき、「この舞台は最高だ!」と思った。まず、あの衣装が好きだ。そして真田くん演じるゼバスティアンは私が誰かに演じてもらいたいと思っていた役、人間像そのものだった。私はこの物語が好きだ。


バスティアンはどこまでも純粋な人間だと思った。純粋で、透明すぎて、不透明に見えてしまう人。「透明すぎて、不透明に見えてしまう人」と自分では言うが、要はどんな人間なのかは分からない。ただ、そうとしか言えない。もしかしたら、それは本当は不透明、闇なのかもしれない。

バスティアンは父親に狩りに連れて行かれた。そこで、彼の父親はとても綺麗な鹿を射止めた。鹿は死んだ。彼の父親は鹿を解体した。血が溢れた。その日、彼の父親は頭を銃で撃ち抜き、自殺した。頭が吹き飛び、血が溢れた。

彼は自分の父親の不倫相手との子供、彼の妹に会った。握手をした。何かを感じた。彼は「綺麗は汚い」と気がついた。あの日、目にした死、溢れ出す血。それが綺麗なものだと気がついた。彼は自分の手を刺した。血が溢れた。

彼は存在しない人と会話ができた。彼は色彩に関する共感覚を持っていた。

彼はありもしない殺人事件を作った。存在するはずもない被害者を作った。存在するはずもない被害者の彼女は「ゼバスティアンは悪夢だ」と言った。彼は元恋人のソフィアに弁護士を雇わせた。彼は狩猟館の壁を埋め尽くすように赤い十字架を描き悪夢を作った。彼は弁護士を使って作品を作り上げた。全て彼の映像作品の中の偽りだ。

きっと彼の青緑色の記憶は本物だ。ソフィアとの愛も、セーニャ・フィンクスも本物だ。彼は芸術家だ。彼は作品を作り上げた。

彼はセーニャ・フィンクスに「罪とはなにか」と問われた。それは彼自身の問いかけなのかもしれない。彼の罪は、私には分からない。





はい、ここまで!
観たものと考えたことの御託並べは終わり。
ここから先は、考えても分からなかったことの御託並べ。と、雑記。


真田くんが舞台には登場したとき、「あれ?この人、こんなだっけ…?」と思った。私の思っていた真田くんは、もう少し華奢で声も低い。今日、観た真田くんはまるで厳つい兄ちゃんだった…しかも声は若々しい。というか、若い。あっ、真田くん若かったのか…!?と、思った。勝手にもういい歳いってるもんだと認識していた。ごめん、よく考えたら真田くん、まだまだ若い。
真田くんの衣装、白いシャツに白いパンツで凄く好きだった。あれめっちゃ河合くんに着てもらいたい。あの衣装を着て、ゼバスティアンとは別人の「純粋で、透明すぎて、不透明に見えてしまう人」を演じてもらいたい。なんならただの純粋すぎる人でもいいよ。

バスティアンは「死」や「血」に惹かれているものだと私は思っている。(そう自分で考えながらも「スプラッターかよ…」と突っ込んだ) ゼバスティアンの部屋に置いてあったSMポルノ、手錠、医療用ナイフ、その他もろもろは映像作品のために用意したと考えるのが正しい気がするが、スプラッター的な、そこからくるものと考えることもできる。けれど、そこは物語にはあまり関係ないかな〜。どちらにせよ結果は同じ気がするから。

彼が妹と手を握ったときに、彼が何を感じたのかは分からない。なぜ自分の手を刺したのかも、分からない。この場所と狩猟館が同じ場所なら、話はつながるけれど、そこも分からない。分からない理由が聴き逃しじゃなきゃいいけれど。

彼の共感覚を疑う余地は無い。存在しない人と会話ができる、というのはセーニャ・フィンクスが襲われたときに助け負傷し、病院に行ったときのカルテが残っていることから、きっと、本当。ただ、そのカルテ=自分の手を刺したときの傷でなければ、だけど。ソフィアはゼバスティアンが手を刺すところを見ていた。ソフィアはセーニャ・フィンクスの存在を知らない。何かあるのかなー。けれど、セーニャ・フィンクスは彼の映像作品に直接、関係してはいない気がする。
セーニャ・フィンクスがスフィンクスなのだとしたら、逃げ出した話はどう受け取るべきなんだろう。彼女の全身には鞭の痕。右胸の下にはフクロウの焼印。性奴隷のような扱いを受けてきた。彼女は「罪とはなにか」と問うた。彼女は、刺され、そこから血が滲み、溢れ、消えた。彼女は何者なのだろう。全てゼバスティアンの故意によって造られたものなのか、それとも無意識なのかな。

彼が一つの映像作品を作るためにあそこまでしたことは疑問ではない。当然とすら思ってしまう。だから、そこは私にとっては重要ではない。一緒に舞台を観に行った人は、そこを重要視していて少し驚いた。えー!?そこ!?と思ってしまう…

あとは、なぜソフィアと別れたか。全く分からない。最後のはけ方も、解せない。彼らの愛とはいったいなんなのでしょう。

「罪とはなにか」と問われても答えられない。私に聞かないでくれよ…と言いたくなってしまう。



物語の雰囲気は『ポリグラフ -嘘発見器-』に似ていた。あれはグロくて、エロくて、カッコよくて、不気味で、軽くトラウマになりそうな物語だった。それをもうすこし若年層向けにした感じかな…真田くんが若いからそう感じるのかな…
TABUの北海道公演は今日の一公演しかなかったのだけど、もし二公演目もあったならおかわりしていた。確実にもう一回観る…!!!!!とその場で叫んでいた。今もできるなら叫びたいよ…この物語大好きだよ…原作、読もうかなぁ。